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BL~中編・長編集~

第9章 ~大切なもの~

「謝るなよ。 俺が悪いんだから。」

「一馬・・・」

一馬は顔を上げると、少し遠慮がちに尋ねてきた。

「奏多・・・・触っても・・・いいか?」

「・・・ん・・・・」

俺が頷くと、一馬はそっと俺に触れてきた。

「抱きしめても・・・いい?」

「・・・うん。」

俺は、一馬の腕に久しぶりに抱きしめられた。

「なあ、奏多。」

「なんだよ。」

急に、一馬の声色が変わった。

低くて、真剣な声。

「俺のこと・・・まだ好き?」

「・・・・」

一馬の質問に、俺はすぐには答えられなかった。

「あんな最低なことしてきて、今更こんなこと言う権利は俺にはないってわかってる。 でも・・・こんどこそ、お前のこと幸せにするって約束するから・・・・俺と、やり直してくれないか?」

「・・・・・」

一馬のことを信じていいのかわからなかった。

もし、また裏切られたら? 浮気がくせになってて、また浮気をしだしたら?

「一馬・・・俺・・・・」

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