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BL~中編・長編集~

第9章 ~大切なもの~

文句を言おうと顔を上げたが、一馬の表情を見て俺は固まった。

「一馬・・・?」

「どこに行くんだよ。」

両腕を頭の上で掴まれ、腕を自由に動けないようにされた。

「ちょっ・・」

「答えられないのか?」

開いた片手で、一馬は俺のベルトをはずしてきた。

「なにすっ・・・」

「だったら、しゃべらせるだけだぞ?」

抵抗しようとしても一馬の力には敵わず、されるがままの状態になった。

「やめ・・・」

「どこに行くんだ?」

言えるかよ。

お前の所からいなくなるために、物件を見に行くなんて・・・

「一馬っ!!!」

一馬の名前を呼んでも、無視される。

「奏多・・・」

こんな・・・・無理矢理・・・

「・・っ・・・ぅ・・」

「・・・奏多?」

俺は恐怖と虚しさから、涙を溢れさせた。

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