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BL~中編・長編集~

第9章 ~大切なもの~

「もしもし?」

若干驚きつつ、電話に出る。

『もしもし、俺だけど?』

電話の相手は・・・・

「オレオレ詐欺?」

『違うわ、アホ。』

吉村だった。

軽く冗談を飛ばすと、吉村は苦笑した。

「で、どうした?」

このタイミングで電話してくるってことは・・・

『いい物件、見つかったぜ。』

「そうか。」

やっぱり。

『どうする? なんなら今から見に行くか?』

「あぁ。 俺はいいけど、お前はいいのか? 遅くなるぞ?」

今は八時。 今から物件を見に行くなら、帰りは遅くなるだろう。

『別に構わねぇよ。』

「そうか。 じゃあ、いつもの喫茶店で。」

吉村にそう言って、電話を切った。

カレーもできたことだし、出かけても平気だろう。

携帯と財布を持ち、玄関に向かう。

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