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BL~中編・長編集~

第9章 ~大切なもの~

あ・・・洗い物に出してて、昔一馬とペアで買ったマグカップしかないな。

「・・・いいか。」

洗うのも面倒くさいし、これで出そう。

ペアのマグカップを置き、コーヒーを注ぐ。

「どうぞ。」

「あ、ありがとうございます。」

テーブルにコーヒーを置くと、一馬に腕を掴まれた。

「おい、こっちのコーヒーに虫が入ってるぞ。」

「は? どこに。」

一馬が指差したのは、俺のマグカップ。

「いいから、違うコップに入れ直してこいよ。」

「・・? わかったよ。」

男の前に置いたコップを持ち上げ、キッチンに入る。

ったく・・・面倒くさい。

流しに出ていたコップを洗い、それにコーヒーを入れ直してもう一度男に出した。

「すいません、本当に。」

「いえいえ。 こちらこそすいません。 虫が入っていたものを出してしまうなんて。」

謝ってきた男にそう謝り返し、愛想笑いをする。

「あの・・・あなたは一馬とどういう関係なんですか?」

キッチンに入ろうと思ったら、男にそう聞かれた。

「あぁ・・・こいつは俺の・・・・」

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