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BL~中編・長編集~

第7章 ~むかしむかしの恋物語~

百が消えた茂みに向かって、百の名を呼び続ける伊代を、麻紀は自分の方に向かせました。

「なんでそんなにあいつがいいんだよ!? あいつは肉食動物なんだぞ!!」

「だからなに!? 麻紀に、百のなにがわかるの!?」

「っ!!」

伊代はこの時初めて、麻紀に反抗しました。

「お前は何もわかってないんだよ!! このまま一緒にいたら、お前は喰われるかもしれないんだぞ!?」

「百はそんなことしないよ!!」

自分の腕の中から逃げようとする伊代を、麻紀は抑えつけます。

「そんなのわからないだろ!! いつ危険な目に遭うかわからないから、俺はお前の親に言って・・・」

麻紀はそこまで言うと、言葉を止めました。

「・・・・麻紀が、お父さんとお母さんに百のこと言ったの?」

「・・・・」

伊代は、麻紀を睨みつけます。

「・・・そうなんだ。」

「・・っ・・・・」

何も言わない麻紀を見て、伊代は確信しました。

「なんで? どうして、僕らのこと気が付いたの?」

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