
秘書のお仕事
第8章 失態
あたしの目に飛び込んできたのは、頭からびしょ濡れになってしまったお客様の姿だった
「ちょっと…どういうことよこれはーーー!!??」
『…』
パニックになるお客様の前で、あたしは一気に青ざめる
計画は失敗…
社長だけの名誉を濁すつもりが、会社の名誉までも濁してしまった瞬間だった
「田村様…!?」
その惨めな姿になってしまったお客様に、菊地社長が駆け寄ってきた
「菊地さん!!
これは一体どういうこと!?
こんな…こんなあ!!」
「田村様、こちらに」
社長は、ヒステリーを起こしているお客様を素早く社長室に入れた
『あ…の、社長…』
何をしなければいけないのか頭が回らず、社長に助けを求めてしまう
しかし社長はあたしなんて目もくれないで、お客様を奥の部屋へと連れて行った
あのVIPルームだ
