
秘書のお仕事
第8章 失態
『…』
あたしの手にあるバケツには、雑巾を洗って黒く濁った水がなみなみと入っている
そろそろあたしの作戦をお教えしよう
この汚い水を、社長にぶっかけてやるんだ
『フフ…』
おっといけない、思わず笑みが…
あたしはまた息を整え、大きな扉を見つめた
社長が部屋に入ろうと扉を開けたところで、あたしがこの水をぶっかけてやる
社長はずぶ濡れ
お客様の目の前で赤っ恥をかく
絶対あたしはクビになっちゃうんだろうけど、そんなことはどうでもいい
だってあたしがここで働いている理由は、社長に仕返しするためなんだもんね
『よし』
意気込んでから、あたしは扉の前でバケツを構えた
