
秘書のお仕事
第8章 失態
時刻は1時50分―――
『社長、そろそろお客様がお見えになる時間です』
「ああ、そうか…」
社長は立ち上がると、部屋を出ていこうとした
「何してる、相沢?
お前も来い」
『あ、申し訳ございません。
ただいま片付けをしておりますので…』
「…次からはさっさと終わらせろ」
『はい』
社長が部屋を出ていったのを確認し、あたしは深呼吸した
さあ、戦いはここからだ
社長はいつも、お客様を建物の入口まで迎えに行く
それはお決まりの行動パターンとして把握済みだ
だからあたしは、わざと掃除をしてそのお迎えのお付きから逃れた
で、今はこの社長室に一人っきりになったわけだけれど…
