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どらくえ3

第3章 ナジミの塔

「ガァァァ!」

魔物の咆哮だ。

次の角から。

「なんだ?!」

俺とイースは緊張を保ちながら角から様子を見た。

魔物数匹が少女と年配の男を襲っていた。

「なっ?!」

「助けないとっ!」

俺とイースは慌てて魔物達に斬りかかった。

ところが、その瞬間、少女が叫んだ。

『メラ』!

アベルが使ったときの数倍大きな火球が、少女の掌から現れ、正面にいたオオアリクイに飛んでいく。

ボァッ!

「ギィィアア!」

火に包まれたオオアリクイが燃え上がり、断末魔の声を上げる。

見れば数体の魔物が焼けて転がっている。

巨大な蜂が続けて少女を襲う。

サソリバチだ。

腹の先についた大型のナイフ程もある針で少女の身体に襲いかかる。

―魔法を使った後はすぐに動けない。

アベルが少女とサソリバチの間に割って入った。

ギンッ!

間一髪、アベルが銅の剣で大針を弾く。

そのままアベルが攻撃に移ろうとしたとき、

「どいて!」

―?!

背後から少女が叫んだ。

驚いて少女を見ると、呪文の詠唱が終わって、次の魔法が発動する状態だった。
少女の眼が光ったように見えた。

『メラ』!

―じょうだんじゃない!
―魔物と一緒に燃やされる!

アベルは床を蹴って横に転がった。

「ギャアア!」

火球が命中してサソリバチが悲鳴を上げた。

―魔法を連続して?
―ていうか、こいつなに考えてんだよ!

アベルは助けに入ったはずが、状況が読めず混乱している。

「おい、アベル大丈夫か!」

イースがフロッガーを切り裂いて、叫ぶ。

少女は更に次の魔法を放つためスペルを素早く宙に描いている。

年配の男はダメージを受けたのか、壁を背にして座ったまま動かない。

魔物は残り3匹。

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