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どらくえ3

第2章 岬の洞窟からナジミの塔へ

ジリッと前方の空間が熱を帯びる。

『メラッ!』

闇が突然明るくなる。

アベルが伸ばした掌から火球が生まれ、オオアリクイの顔面に当たった。

「ギャウ!?」

オオアリクイが面食らって叫び声を上げる。

さほどダメージは与えられなかっただろう。

しかし暗闇で突然目の前が明るくなれば、目が眩むはずだ。

オオアリクイは立ち上がって両腕を闇雲に振り回す。

―よし!

追い詰められて初めて魔法が上手くいき、狙った効果もあった。

だが、これで満足している場合ではない。

アベルはオオアリクイの前ヅメをかいくぐって背後に回る。

「ぐっ・・・!」

肩に前ヅメがかする。
力が強い。
直撃すれば肉を簡単に持っていかれそうだ。

なんとか背後に回ったアベルは銅の剣を上段に構え、跳躍する。

「うおぉりゃああ!!」

気合いと共にオオアリクイの脳天に剣を振り下ろす。

がぁん!!

手応えあった。

会心の一撃!

オオアリクイはそのまま動きを止め、前のめりに倒れた。

「やった!」

アベルは格上の魔物を倒せて興奮していた。

「そうだ、イースは!?」
すぐにイースの元に駆け寄る。

「おお、アベル。やるな」
イースは壁を背もたれにして仰向けに倒れていたが、大きな怪我はないようだった。

「大丈夫か?」

「ああ、受け身はとったんだか、叩きつけられて体が動かせなかった。すまん」
俺達はその場で薬草を噛み潰して怪我にそのエキスを塗布した。

薬草のエキスは服用したり患部に塗布することで回復効果が出る。

若干の麻酔作用もあるので痛みを和らげる効果もある。

俺達は体力が少し回復してから更に洞窟の奥へと進んでいった。

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