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どらくえ3

第2章 岬の洞窟からナジミの塔へ

「ぐあっ・・!」

イースがうめき声を上げながら飛ばされた。

あの勢いなら壁に当たっているだろう。

「イース!大丈夫か!?」

俺は叫んで尋ねる。

返事がない。

気を失っているのか?

「フーッ、フーッ!」

闇から出てきた魔物が荒い息を吐いてこちらに向きを変えた。

オオアリクイだ。

巨体に細く長い口。
体当たりされたらイースのように飛ばされるだろう。
前足には鈎ヅメもある。

「くそっ!」
イースが心配だが俺はひとまず剣を構える。

オオアリクイは俺を見て四足歩行で突進してきた。

体当たりだ。

横っ飛びで避け、前転をして受け身を取る。

オオアリクイは次の体当たりの体勢に入っている。

攻撃に移る隙がない。
正面から銅の剣で叩いてもはじき返されてしまうだろう。

―考えろ!

突進を再び横っ飛びでかわすと、俺は岩影の暗闇に隠れた。

―少しでいい。足止めができれば。

息を整える。

―いちかばちか。いや、できるはず。

目を閉じて集中する。

オオアリクイが近付いてくる。

荒い鼻息が聞こえる。

俺は人差し指で空中にスペルを描く。

そして暗闇に入ってきたオオアリクイの目の前に掌を突きだし、呪文を叫んだ。

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