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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「…ゃ…」

「? 三神?」

ニック様が私にしていることは、リチャード様より酷いことじゃないか…

「やめて下さいっ!!」

好きな方がいらっしゃるのに、どうして…こんな…

「ど、して…こんなことなさるのですか? ニック様には、ずっとお慕いしている方がいらっしゃるではありませんか。」

「は?」

わからない振りなんて、しないでほしい。

「とぼけないで下さい。 ジェシカ様のこと…ずっとお慕いしているのでしょう?」

「俺が…ジェシカを?」

泣きそうになったから、顔を隠した。

ニック様に、こんなみっともない姿…見せたくなかった。

「それ、誰に聞いたんだよ。」

「…リチャード様に。」

リチャード様の名前を出したら、ニック様は大きくため息をつかれた。

「全然話違うから。 確かに、俺にはずっと好きな奴がいるけどな…ジェシカじゃない。」

「え?」

ジェシカ様じゃない?

じゃあ、一体誰を…

「ったく…ちょっと目を離しただけで、変な方向に考えやがって…」

でも…どちらにしろ、ニック様にはお慕いしている方がいらっしゃるんだ。

状況は何一つ変わらない。

「いいか、よく聞け。 俺が好きなのは…」

聞きたくない。

聞いたところで…

「お前だよ。」

「………え?」

ニック様の言葉が、理解できなかった。

今、なんて…

「だから、好きだって言ってんだよ!!」

「好…き…?」

ニック様が、私を…?

「ええ!?」

「やっと理解したか。 このバカ。」

そんなこと…あるわけがな…

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