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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「よいしょ…」

「すみません…狭いですよね?」

病院のベッドは、そこまで大きくない。

男二人が並んで寝たら、一杯一杯だ。

「ううん、大丈夫。 ごめんね、ベッド狭くしちゃって。」

「いえ…久しぶりにこんな風に寝れて、嬉しいですから。」

私の言葉に、留架様は子供の頃となにも変わらない笑顔を浮かべられた。

「へへへ。 俺も。」

「ふふ。」

そして、子供の頃と同じように、私の腕に抱きついてこられた。

「ん…三神、温かい。」

「お休みなさいませ、留架様。」

アメリカからここまでノンストップでいらっしゃったため、疲れが溜まっておられたのだろう。

留架様はすぐに寝息をたて始めた。

「………」

人の体温って、温かいな。

昼間あんなに寝たのに、もう眠くなってきた。

『ずっとジェシカのことが好きだった。』

「…っ…」

大丈夫。

時間が経てば、この気持ちも忘れられる。

「ん…亮…」

全部うまくいく…か。

本当に、そんなことがあるのだろうか。

「………」

あの方が好きなのは、女性。

しかも、ずっと前から…

「…………はは…」

勝ち目なんてない。

私の想いは、あの方にとっては迷惑なだけ。

「っ…」

どうすればいい?

どうすれば、この想いを…

忘れられる?

「…ニック様…」

「…………」

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