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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「思ってないでしょ?」

「…っ…ぅ…」

本当は、婚約なんてしてほしくない。

ずっとお側にいたい。

「三神…」

「ッ…」

年下の…それも、男性を、こんなに好きになるなんて。

「大丈夫。 きっと、全部うまくいくよ。」

「…留架様…っ…」

ボロボロ涙を流す私を見て、留架様は得意気に笑われた。

「だって、三神を好きにならない人はいないもん。」

「っ…ふふ…」

またまたご冗談を。

「なんで笑うの~? 俺、結構本気でそう思ってるよ?」

「ふふふ。 そんなこと仰るのは、留架様だけですよ。」

「えぇ~。」

不思議な方だ。

もちろん、いい意味で。

「…ありがとうございます。 もう大丈夫です。」

「…そっか。」

私のことを、ここまでコントロールしてしまうのだから。

会長ですら、そんなことできなかった。

「明日は何時に退院するの?」

「そうですね…七時には退院したいところですが。」

病院の受け付け、始まっていないだろうし。

「わかった。 じゃあ、できるように話つけとくね。」

「………はい、すみません。」

それができてしまうのが、この方の恐ろしいところだ。

一体、どんな手を使うのか…

「…………」

あ、そうか。

ここは、留架様が経営を任されている病院だった。

権力は、院長よりも上か。

「今日はもう寝ようか。 明日から、たまった仕事片付けるつもりでしょ?」

「はい。」

私のやろうとしていること、全て見透かされているな。

この方には敵わない。

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