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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「っと…そろそろ、戻らないと。」

時計を確認し、先生は椅子から立ち上がった。

「明日の朝には退院できますから。 今夜は、ゆっくりお休み下さい。」

「はい、ありがとうございます。」

小内君、手配してくれたんだな。

明日、お礼を言おう。

「では、また。」

うーん…お腹が満たされたら、眠くなってきた。

「ねぇ、三神…聞きたいことがあるんだけど…」

「なんですか?」

小山先生が出ていかれると、留架様の表情が曇った。

どうされたのだろう。

「リチャードと、なにかあった?」

「…………」

留架様の質問に、なにも答えることができなかった。

「やっぱり、なにかあったんだよね?」

「……いえ…」

私が耐えられないだけ。

忍耐力が弱いだけだ。

「嘘。 仕事のし過ぎで倒れたのは事実だと思うけど、夜も寝ないでやらないと終わらない程の量じゃなかったでしょ。

一ヶ月近くリチャードと二人きりで、なにか三神を追い詰めるようなことがあったんじゃないの?

仕事に没頭して、他のことを考えなくて済むようにしないといけないくらいの。」

「…………」

どうして、この方は…

こんなに鋭いのだろうか。

「違う?」

「…………」

ここで嘘をついても、この方にはバレてしまうだろうな。

「留架様…私は、どうすればよいのでしょうか。」

それに、誰かに聞いてほしかった。

今までずっと…一人で抱えていたから。

「リチャードになにかされた?」

「……それは…その、以前されていたのと同じことを…」

「もしかして、無理矢理…」

しかし、そんなことはどうでもいい。

問題なのは…

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