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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「うん…うん…叔父さんには、俺から話しておくから。」

叔父さん…ニック様の父上のことか。

「うん…じゃ。」

春架様との電話を切られると、留架様は大きくため息をつかれた。

「大丈夫?」

「うん。 向こうは、春架がなんとかしてくれるって。」

あ、ニック様で思い出した。

まだ荷物を送っていないな。

「なんとかするって…なにかあったの?」

「うん…ちょっと…ね。」

後で小内君に頼んでおこう。

「あ、湊さん。 いろいろありがとうね。」

「いえ…仕事ですから。」

いろいろ…?

まさか、小内君が留架様に連絡を…

「もう夕方か。」

「ほんとだ。」

時計を確認すると、午後五時になるところ。

私は、一体何時間寝ていたのだろうか。

「俺、そろそろ帰ろうかな。 片付けないといけない仕事あるし。」

「あ、僕も今日は失礼します。」

「お疲れ様。」

仕事…やっぱり、残っていたのか。

わざわざ、足を運んで下さったんだな。

「………」

「三神?」

そう思ったら、急に申し訳なくなってきた。

執事なのに、主人に迷惑をかけてしまった。

「あのね…迷惑なんかじゃないよ?」

「え?」

驚いて顔を上げると、留架様が優しく微笑んでいた。

迷惑なんかじゃない…って…

「ごめんね。 俺、三神に頼り過ぎだよね。」

「留架様…?」

留架様はそう言って、悲しそうな顔をされた。

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