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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「……手配…」

「? 留架、どうかしたの?」

私と小内君の会話を聞いて、留架様は考えこまれてしまった。

手配がどうかしたのだろうか。

「あー!!」

「「!?」」

かと思えば、急に大声を上げられた。

な、なにか問題でも思い出されたのだろうか。

「春架に、日本に戻るって言ってない!!」

「え!?」

つまり…

「今頃、俺のこと捜してるかも…」

「なんでなにも言わないで出てきたの?」

黙って日本に戻って来られたのか。

春架様、心配なさってるだろうな。

「いや…三神が倒れたって聞いて、慌てて飛び出してきたから…連絡するの忘れてた。」

「あーあ…」

な、なんか、すみません…

「ちょっと、連絡してく…」

留架様が席を立とうとした時、携帯が鳴り出した。

「あ、春架からだ。」

すごいタイミングでかかってきたな。

「もしも…」

『兄ちゃん!?』

別にスピーカーになってる訳でもないのに、春架様の声がはっきり聞こえた。

相当心配なさってたんだろうな。

『今どこ!?』

「…日本。」

『は!?』

まぁ…そういう反応されるよな。

『なんで!?』

「三神が倒れたって連絡があったから。」

留架様は、なにも告げずに日本に戻って来たことを謝ると、経緯を春架様に説明された。

話の途中で落ち着きを取り戻したのか、春架様の声も聞こえなくなった。

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