
恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「三神さん…大丈夫ですか?」
「…大丈夫ですよ。」
留架様が戻って来られるのは、二日後。
「でも…三神さん、ほとんど寝てないんじゃ…」
「…………」
寝てないんじゃない。
眠れないのだ。
何かをして気を紛らわせていないと、すぐにニック様のことを考えてしまう。
「…そんなに心配しないで下さい。 私は、大丈夫ですから。」
「………」
しかしまぁ…身体的に限界が来ているのも事実だ。
いい加減にしないと、倒れるかもしれない。
「さぁ…仕事を片付けてしまいましょうか。」
「はい。」
心配そうな表情を浮かべたまま、小内君は私の言葉に頷いた。
「おい、三神。」
「!!」
呼び止められて、私の体が震えた。
「リ…チャード様…」
私を呼ぶということは、つまり…
「来い。」
「っ…」
そういうことだ。
「早くしろ。」
体が、言うことを聞かない。
…怖い。
「…三神。」
「…ッ…」
「…チッ…」
動かない私を見て痺れを切らしたのか、リチャード様は私の腕を掴んで無理矢理部屋に連れて行こうとされた。
「やっ…」
「リチャード様、無理強いは…」
「お前は黙ってろ。」
反射的に抵抗してしまい、それがリチャード様を怒らせてしまった。
「こいつは俺の言うことを聞いていればいいんだよ。」
「そんなっ…」
腕を強く引かれ、体が激しく揺れたせいだろう。
「!!?」
「!! 三神さん!!?」
急激な目眩に襲われ、次の瞬間には目の前が真っ暗になった。
