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「ははっ…」

「三神さ…」

そうだよな。

私なんて、一介の執事に過ぎない。

なにを期待していた？

「なんでもありませんよ。」

「……………」

私はバカだ。

身をわきまえずに、あの方の心まで求めてしまうなんて…

「それで…どうして連絡を？」

「あ、はい。　ニック様の荷物を全て送ってほしいそうです。」

「…そうですか。　わかりました。」

ニック様の荷物は、そんなになかったはず。

「小内君、手伝ってもらってもいいですか？」

「は、はい。」

「…………」

いつの間に、好きになっていたんだろうか？

あんなに、リチャード様のことが好きだったのに…

いつから、ニック様のことを…

「さ、最近、リチャード様の機嫌が悪い気がしますけど…なにかあったんですかね？」

「あぁ…お付き合いされていた方と、別れたらしいですよ。」

小内君には、話していなかったな。

「そうなんですか…」

その憂さ晴らしを、私を使ってなさっているのだ。

「三神さん…今のままでいいんですか？」

「……なにがです？」

彼は気づいているのだろう。

私が、リチャード様に無理矢理犯されているのを。

「このままじゃ…三神さんが壊れてしまいますよ。」

「…………私は大丈夫ですよ。」

これ以上、失うものは何もない。

「もう…なにも…」

「三神さん…」

なにもないから…