
恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「はい。 この人に、私の仕事の補佐をしてもらおうと思いまして。」
「補佐…?」
私の言葉を聞いた留架様の目が、鋭くなった。
「っ…」
鋭い視線を向けられた小内君の肩が震えた。
留架様は優しい方ですが、中々威圧のある方ですからね。
「名前は?」
「…小内湊です。 三神さんには、お世話になってます。」
先程まで、あんなにガチガチに緊張していたのに…
そんなことは思わせない態度ですね。
「新人?」
「はい。 二ヶ月目です。」
「ふーん…」
随分、肝の据わった人です。
「平気なの? 新人には、三神の仕事の補佐はキツイんじゃない?」
「そ、れは…」
「大丈夫です。」
留架様の問いに、私が答えた。
「彼のことは、私が保証します。」
「三神さん…」
「………」
私の答えを聞いて、留架様はにっこり笑われた。
あんな威圧を放っていた方とは思えない笑顔だ。
「そっか。 三神がそう言うなら、大丈夫だね。」
「…………」
あっさりと認めてくれたことに、小内君は相当驚いてるようだ。
「でもさ…ちょっと、試してもいい?」
「試す…ですか?」
「うん。」
やはり、仕事に関しては厳しいですね。
「今、三神に頼もうと思ってた仕事があるんだ。
それを、この人にやってもらってみてもいい?
その出来次第で、三神の補佐を出来るかどうか、決めさせてほしいな。」
「…わかりました。 任せて下さい。」
留架様の言葉に、しっかりと頷いた小内君。
