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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「後は他の人に任せて、留架様の所に行きましょうか。」

「あ、はい。」

あまり留架様を待たせるわけにはいかない。

「後はお願いします。」

「はい。」

その場にいた使用人に声をかけ、小内君と一緒に食堂を出た。

「…………」

いつも話しかけてくれるのに、今日は無言の小内君。

「…緊張してますか?」

「え!? えっと…」

緊張してるみたいですね。

「大丈夫ですよ。 とても優しい方ですから。」

「あ、はい…それはわかってるつもりなんですけど…」

まぁ、緊張するのも無理はないでしょう。

「準備はいいですか?」

「え、えっと…はい。」

いくら優しいからと言って、この屋敷の主人の恋人に会うのだから。

「大丈夫ですよ。 私もフォローしますから。」

「す、すみません…ありがとうございます。」

おそらく、亮様も一緒にいらっしゃるだろうし。

新人には厳しいものがありますよね。

「準備はいいですか?」

「は、はい!!」

お部屋の中から、楽しそうな声が聞こえる。

「失礼します。」

「どうぞ。」

ノックしてから部屋に入ると、中には皆様がお揃いだった。

リチャード様は、ベッドの上でつぶれていらっしゃる。

「留架様、この間頼まれていた仕事です。」

「あ、お疲れ様。 相変わらず仕事が早いね。」

書類を受け取った留架様の視線が、私から小内君に移った。

「えっと…その人は?」

「先ほどお話しした、紹介したい方です。」

「紹介したい?」

首を傾げられた留架様。

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