
恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「お帰りなさいませ。」
「…あぁ。」
玄関で、ニック様の荷物を受け取る。
宣言通り、夕飯前に帰ってこられた。
「? どうかなさいましたか?」
お部屋までついて行くと、ニック様は扉の前で立ち止まられた。
「今夜…俺の部屋に来い。」
「ぇ…」
「いいな。」
私の返事を聞かずに、ニック様は荷物を受け取ると、お部屋の中に入ってしまわれた。
「……はい…」
一日に、二回も…ですか?
「………」
少し、期待してしまったのは、秘密です。
「三神!!」
「っ!! は、はい。」
び、びっくりした。
留架様でしたか。
「? どうしたの?」
「い、いえ…なんでもありません。」
「? そう?」
ど、動揺が隠し切れない…
「それよりも…なにか御用ですか?」
「あ、うん。 これ。」
留架様に手渡されたのは、仕事関連の資料。
「わかりました。」
「よろしくね。」
ふぅ…
やらないといけないことがたくさんありますね。
「もうこんな時間ですか…」
そろそろ、夕飯の準備をしないといけない。
でも、まぁ…他の人でもできるでしょう。
