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恋ばか

第35章 ~おまけ2~

「ヮウ~!!」

「「!!」」

遠吠え?

「カインが鏡夜君を見つけたみたいだね。」

「ほんと!?」

カイン…猟犬みたい。

「あっちから聞こえるね。」

「うん、行こ!!」

カインの声が聞こえる方向に、全力で走る。

「鏡夜!!」

「…………」

そんなに離れていないところに、カインと鏡夜がいた。

よかった…怪我はしてなさそう。

「見つかってよかった…どうしたの?」

「…………」

カインの足の間に隠れ、鏡夜は出てこようとしない。

「鏡夜?」

カインに背中を押され、鏡夜は耳と尻尾を下げたまま俺の前に出てきた。

「にゃ~……」

そして、「ごめんなさい。」と謝るように、さっき鏡夜に引っ掛かれて血が滲んでいる手の甲を舐めてきた。

「鏡夜…」

「にゃ…にゃ…」

引っ掛かれていない方の手で鏡夜を撫でると、小さい体がビクッと震えた。

そっとその体を持ち上げ、ぎゅっと抱き締める。

「……にゃ…?」

「…無事でよかった…」

本当に…鏡夜になにかあったら、どうしようかと思った。

「にゃ~…」

体を震わせていた鏡夜は、自ら体を擦り寄せてきた。

安心…したのだろうか。

「にゃ~にゃ~…」

「ふふ。 鏡夜、ひげがくすぐったい。」

鏡夜が顔を擦り寄せてくる度、ひげが掠めてくすぐったい。

「にゃん!!」

鏡夜、元に戻ったみたい。 よかった。

「カイン、ありがとうね。」

「ワン!!」

ん? そういえば、どうして鏡夜はあんなに怒ってたんだろう?

「にゃ~。」

ま、いいか。

無事だったんだし。

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