テキストサイズ

恋ばか

第35章 ~おまけ2~

「兄ちゃん、しようよ~…もう一人は兄ちゃんが決めていいから~…」

いやいやいやいや。

相手が誰でも嫌だって。

「三神とかは? なんなら、境兄ちゃんでも…」

「なんで自動的に亮が外されてるわけ?」

選択肢に亮はないわけね…

「いつもと一緒じゃつまらないでしょ?」

「いや、あのね…そもそも春架としな…」

「よし、境兄ちゃんで決定!!」

「「は?」」

春架は勝手に決定すると、俺と境の腕を引っ張って部屋から連れ出した。

「「ちょっ…」」

「いいから!!」

「?」

春架はなにがしたいのだろう?

俺と境を連れ出した理由が、別にある気がする。

春架は元は俺の部屋だった場所に、俺と境を押し込めた。

「もう…大人しくついてきてくれればこんなめんどくさいことにならなかったのに…」

「え?」

ため息をついた春架は、机の引き出しから封筒を取り出した。

「はい、これ。 兄ちゃんに頼まれてたもの。」

「探すのは簡単だったけどな。」

「???」

もしかして…

「藤堂望さん。 見つけたよ。」

「!!」

俺は春架から封筒を受け取ると、急いで目を通した。

「この人が藤堂望さん?」

「あぁ。 交通事故に遭って、意識不明の重態だったらしい。

すぐに病院に運ばれて、処理をしたおかげで一命は取り留めたけど、目が覚めない植物状態だって。」

そうか…だから鏡夜は…

「だから…医者を目指してたのか。」

「らしいな。 周りに反対されたのにも関わらず、一人でアメリカに留学したらしい。」

この人を…恋人を助けるために…

「手術すれば、この人は意識を取り戻すの?」

「あぁ。 でも、それができるのは世界でも限られた人数だけだ。」

境の言葉に、春架は別の書類を取り出した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ