
恋ばか
第33章 ~貴方だけを愛してます~
『相変わらず、小山先生は変わってるね。』
「あぁ。」
そうそう。
臣から、あの男子生徒とのことも聞いた。
『授業で薬品を扱ってる時に、友達に押されてあの子の制服に薬品がかかったんだ。』
…で、着替えるために保健室に行き、替えの服を渡そうとした時に足が滑り、男子生徒をベッドに押し倒してしまったんだとか。
『すぐにどこうと思ったんだけど、カーテンが開いて驚いてそっち見たら…』
俺がいたわけですよ。
『じゃあ、なんであいつ病院まで来てたんだよ?』
『それは…』
臣の口から出た言葉は、俺の予想をはるかに超えたものだった。
「そいつ、俺のファンだって…」
『えぇ!!?』
病院に来てたのは、俺の見舞いに来ていたらしい。
受け付けを通ろうとしたら、臣に止められたようだ。
『涙目で見つめてたのは、境だったってこと?』
「あぁ。」
臣に止められて泣きそうになっていたら、そこに元凶である俺が登場し、思わずガン見してしまったとか。
「てっきり臣を見てるのかと…」
『ふふ。 境はどんくさいね。』
画面の中で笑っている留架は、楽しそうだ。
「…………」
『ん? どうしたの?』
まさかとは思うけど…
「お前、実は知ってたとか?」
俺の質問に、留架はにっこりと笑った。
『さあ? どうだろうね?』
「おまっ…」
絶対知ってたな!!
「知ってたなら早く言えよ!!」
『えぇ~…そういうことは自分たちで解決しないと…ね?』
この野郎…
『境とカズなら平気だろうって信じてたからさ。』
「はぁ…」
そう言われたら、なにも言い返せない。
『ちゃんとその子のこと考えてあげるんだよ? 境なら攻めでもいけるでしょ?』
「なにを根拠にそんなこと言ってんだよ。」
俺は受け専門だっての。
