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恋愛短編集

第5章 母さんのオムライス


レシピはあの頃と変わってない。

変わってない筈なのに…美味しくない。

母さんのオムライスは絶品で、俺も父さんも姉さんも大好きだった。

だが、食べられない。

梓のクッキーの方が食べられる。

何故だかそんな気分だった。


「聡、もういらないの?」


俺は曖昧な笑みを浮かべた。


「また昨日みたいにお菓子でも食べすぎたんじゃない?」


屈託のない笑顔で笑う母さん。

母さん…それは1ヶ月も前の話だよ。

俺はもう、感情なく笑うしかなかった。

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