
トライデント
第5章 強きゆえに…
エルメス「本にはこう書いてありました。冥界神ハーデスとその妻ペルセポネー、と。これは単なる偶然なのでしょうか?私は本当に不思議でした。」
ゲオルグ「と、言いますと?」
エルメス「彼は記憶喪失でした。覚えていたのは名前だけ。けれども青年の顔つきとその剣術などの闘争力は人一倍強かった。そして私にはそのハーデスという名前が気になってしかたがなかったのです。」
ゲオルグ「ハーデスとは神の名前、つまり継承前の名前が彼にはないということですか?」
エルメスはコクっと頷いた。
エルメス「私もエルメスという名前ですが、これは両親がこの神のようになれと名前をつけたからです。まあ、その後ちゃんと私はエルメスの称号を得ることができたのですが…。しかし考えてみても不思議なこと、冥界、死の神、ハーデスと名付け人殺しをさせたがる親がいるでしょうか。こんな恐れ多い名前を子供につけるなんてことを…。」
なにやら話は急展開するらしい。
