
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第26章 都の春
それも当然だろう、二十九年前に相思相愛だった恋人ヨンウォルと別れたそもそもの原因は、他ならぬ妙鈴の存在だったのだから。
それでも、もう、妙鈴は止まらなかった。
「私の眼には、あの娘がヨンウォルに、光王が二十九年前のあなたに見えてなりません。私がヨンウォルを憎めば憎むほど、あなたの心は私から離れていった―。いっそのこと、婚約を私から破棄して、あなたをヨンウォルの許に行かせて差し上げようかと幾度も思いました。幾ら望んでも手に入らぬものを得ようとすれば、空しいだけですもの。それでも、諦めの悪い私は、とうとう最後まで諦め切れなかったのです。結婚して、あなたを手に入れたお陰で、私は、あなたの心を永遠に失った。あなたはヨンウォルを追いつめた私をけして許しはしていないはずです」
それでも、もう、妙鈴は止まらなかった。
「私の眼には、あの娘がヨンウォルに、光王が二十九年前のあなたに見えてなりません。私がヨンウォルを憎めば憎むほど、あなたの心は私から離れていった―。いっそのこと、婚約を私から破棄して、あなたをヨンウォルの許に行かせて差し上げようかと幾度も思いました。幾ら望んでも手に入らぬものを得ようとすれば、空しいだけですもの。それでも、諦めの悪い私は、とうとう最後まで諦め切れなかったのです。結婚して、あなたを手に入れたお陰で、私は、あなたの心を永遠に失った。あなたはヨンウォルを追いつめた私をけして許しはしていないはずです」
