
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第26章 都の春
「そ、それは」
妙鈴は唇を戦慄かせ、それからよろめきながら、立ち上がった。
「ご自由になされば良いではございませんか。あの娘の身許が知れた今、私が何を申そうと、結果は変わりません。しかも、天下の知恵者とまで謳われる張先生ほどのお方が間に立たれたからには、香花を無下にはできないでしょう」
「夫人、そなたは、何故、香花をそこまで嫌う? あの娘は心映えも優れているし、あのような嫁はまたとない得難い存在だ。それが判らぬそなたではあるまい」
そのひと言が、妙鈴のくすぶっていた心に火を付けた。
妙鈴は唇を引き結び、キッと良人を見据えた。
「あの娘はヨンウォルに似ています」
「―」
流石に、真悦が黙り込んだ。
妙鈴は唇を戦慄かせ、それからよろめきながら、立ち上がった。
「ご自由になされば良いではございませんか。あの娘の身許が知れた今、私が何を申そうと、結果は変わりません。しかも、天下の知恵者とまで謳われる張先生ほどのお方が間に立たれたからには、香花を無下にはできないでしょう」
「夫人、そなたは、何故、香花をそこまで嫌う? あの娘は心映えも優れているし、あのような嫁はまたとない得難い存在だ。それが判らぬそなたではあるまい」
そのひと言が、妙鈴のくすぶっていた心に火を付けた。
妙鈴は唇を引き結び、キッと良人を見据えた。
「あの娘はヨンウォルに似ています」
「―」
流石に、真悦が黙り込んだ。
