
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第26章 都の春
「さりながら、香花は既に身ごもっているのだ。大切な我が家の跡取りをその身に宿している者を粗略に扱うわけにもゆくまい」
「何と、旦那さま、今、何と仰せになりましたか?」
妙鈴が蒼褪めた顔で訊ねてくる。
「香花は既に光王の子を懐妊している」
その言葉に、妙鈴は一瞬、眼の前が白くなった。だが、次の瞬間、すぐに己れをふるい立たせ、ようよう言葉を繰り出した。
「旦那さまの仰せのとおりにございます。既に懐妊している者を追い出すわけにも参りませぬ。ならば、香花は側室として相応の待遇を与えればよろしいのではありませんか」
事もなげに言った妙鈴に、真悦は首を振った。
「そういうわけにはゆかぬ。妙鈴、香花はあの金氏の令嬢だったのだよ」
「あの金氏―?」
「何と、旦那さま、今、何と仰せになりましたか?」
妙鈴が蒼褪めた顔で訊ねてくる。
「香花は既に光王の子を懐妊している」
その言葉に、妙鈴は一瞬、眼の前が白くなった。だが、次の瞬間、すぐに己れをふるい立たせ、ようよう言葉を繰り出した。
「旦那さまの仰せのとおりにございます。既に懐妊している者を追い出すわけにも参りませぬ。ならば、香花は側室として相応の待遇を与えればよろしいのではありませんか」
事もなげに言った妙鈴に、真悦は首を振った。
「そういうわけにはゆかぬ。妙鈴、香花はあの金氏の令嬢だったのだよ」
「あの金氏―?」
