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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第17章 夢の終わり

 香花は光王にとっては、かけがえのない宝なのだ。香花を苦しめ泣かせる者は、この自分が許さない。
 路傍の苔むした石仏は、香花があの女の手の者に連れ去られる一部始終を見ていたに違いない。
「待ってろ、香花。今、助けてやる」
 光王は静かな決意を秘めた瞳を燃え立たせながら、物言わぬ石仏を見ていた。

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