
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第17章 夢の終わり
萬安の妻が頷いたところに、耳をつんざくような声が空気を震わせた。見れば、萬安の妻の腕の中で、赤児のウォングが盛大に泣き喚いている。
「ごめんな。飯の途中に邪魔して、悪かった」
光王は赤ン坊のすべすべした頬を指先でつつくと、萬安の妻に言ってやった。
「この馬鹿でかい声は、やっぱり、父親似なのかねぇ。こいつも将来は大物になるよ、奥さん」
その言葉に、萬安の妻は満更でもない顔で頷き、愛想よく言った。
「また商売の方がひと段落ついたら、お酒でも飲みにきて下さいよ、うちの人も待ってますから、ああそうだ、香花も一緒にね」
「ありがとう、そうさせて貰うよ」
光王は顔をほころばせると、暇乞いをして萬安の家を後にした。
そして、そのまま隣村までの道を辿っていた光王は途中で、地面に散らばった無数の石榴や栗を見つけた。その場所は隣村にもほど近く、県監の住まいも眼と鼻の先だ。
「ごめんな。飯の途中に邪魔して、悪かった」
光王は赤ン坊のすべすべした頬を指先でつつくと、萬安の妻に言ってやった。
「この馬鹿でかい声は、やっぱり、父親似なのかねぇ。こいつも将来は大物になるよ、奥さん」
その言葉に、萬安の妻は満更でもない顔で頷き、愛想よく言った。
「また商売の方がひと段落ついたら、お酒でも飲みにきて下さいよ、うちの人も待ってますから、ああそうだ、香花も一緒にね」
「ありがとう、そうさせて貰うよ」
光王は顔をほころばせると、暇乞いをして萬安の家を後にした。
そして、そのまま隣村までの道を辿っていた光王は途中で、地面に散らばった無数の石榴や栗を見つけた。その場所は隣村にもほど近く、県監の住まいも眼と鼻の先だ。
