
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第9章 燕の歌
嘘、嘘に決まっている。あの知勇さまが使道を、実の父親を殺すなんて。
言葉が頭の中で空回りする。
―息子と使道が掴み合いの喧嘩をやらかしてる最中に、運悪く使道が頭をぶつけちまって、亡くなったらしい。
「あ―、そ、そんな」
香花は震えながら、立ち上がった。
「おい、どこに行くんだ」
光王が血相を変える。
何も応えず、そのまま飛び出してゆこうとする香花の身体を、光王が後ろから抱き止めた。
「お前が今、行って、どうするんだ、どうなるんだよ」
「そんなの、判らない。でも、私は行かなくちゃならないの」
香花は光王の前であることも忘れ、夜着の前紐を解く。パサリと音を立てて上衣がすべり落ち、布を巻いただけの胸が剥き出しになった。豊かな膨らみが布を押し上げている。
光王はその白い膚に一瞬、眼を奪われかけ。慌てて顔を背ける。
香花はそうしている間にも、下着とチョゴリを手早く羽織り、チマを穿いた。
「香花、おい、香花!」
大きな声が響き渡ったが、香花は振り向きもせず―というよりは、光王の存在自体を失念したように駆け出した。
言葉が頭の中で空回りする。
―息子と使道が掴み合いの喧嘩をやらかしてる最中に、運悪く使道が頭をぶつけちまって、亡くなったらしい。
「あ―、そ、そんな」
香花は震えながら、立ち上がった。
「おい、どこに行くんだ」
光王が血相を変える。
何も応えず、そのまま飛び出してゆこうとする香花の身体を、光王が後ろから抱き止めた。
「お前が今、行って、どうするんだ、どうなるんだよ」
「そんなの、判らない。でも、私は行かなくちゃならないの」
香花は光王の前であることも忘れ、夜着の前紐を解く。パサリと音を立てて上衣がすべり落ち、布を巻いただけの胸が剥き出しになった。豊かな膨らみが布を押し上げている。
光王はその白い膚に一瞬、眼を奪われかけ。慌てて顔を背ける。
香花はそうしている間にも、下着とチョゴリを手早く羽織り、チマを穿いた。
「香花、おい、香花!」
大きな声が響き渡ったが、香花は振り向きもせず―というよりは、光王の存在自体を失念したように駆け出した。
