
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第5章 永遠の別離
「退(ど)いて」
香花が二人を睨みつけるのに、ひょろ長いのが口笛を吹いた。
「まだ子どもの癖に、気の強そうな女だな」
「だけど、えらい綺麗な娘だ」
最後に、もっそりとした中肉中背の男が出てきた。口の右脇にかなり大きな黒子がある。
「両班の女なんて、滅多と味わえねえご馳走だ。せいぜい愉しませて貰おうぜ」
二人の男たちにいきなり頭と脚を持って抱き上げられ、香花は悲鳴を上げた。
「何するの、止めて、止めてよ」
夜陰に香花の声が響き渡ると、ほくろの男がいきなり香花の口に布を突っ込んだ。
「うう―」
声を出したくても、声が出ない。
「何をする、先生に乱暴するのは私が許さぬ」
林明が男の一人に果敢に向かっていったが、すぐに蹴飛ばされた。
「煩せぇ、ガキに用はねえんだよ。俺たちが用のあるのは、こっちの可愛いお嬢ちゃんだけだ」
男たちは香花を松の樹の下に運び、横たえた。一人が香花の両脚を押さえ込み、一人が両腕を持ち上げた格好で固定する。
ほくろの男が上から覆い被さってきた。
「こいつ、震えてやがる。この様子だと生娘に違えねえ」
手を押さえつけた小太りの男が嬉しげに言った。
「お嬢さん、そんなに怖がらなくても大丈夫だ。俺たちがたっぷりと愉しませてやるからな。どうせ、どこかの両班のぼんぼんとするはずだったことを、俺たちが丁寧に手取り脚取り教えてやろうっていうんだ、感謝して欲しいものだぜ」
ほくろの男がニヤついて言い、香花の肩に羽織っていた外套を荒々しく剥ぎ取った。
香花が二人を睨みつけるのに、ひょろ長いのが口笛を吹いた。
「まだ子どもの癖に、気の強そうな女だな」
「だけど、えらい綺麗な娘だ」
最後に、もっそりとした中肉中背の男が出てきた。口の右脇にかなり大きな黒子がある。
「両班の女なんて、滅多と味わえねえご馳走だ。せいぜい愉しませて貰おうぜ」
二人の男たちにいきなり頭と脚を持って抱き上げられ、香花は悲鳴を上げた。
「何するの、止めて、止めてよ」
夜陰に香花の声が響き渡ると、ほくろの男がいきなり香花の口に布を突っ込んだ。
「うう―」
声を出したくても、声が出ない。
「何をする、先生に乱暴するのは私が許さぬ」
林明が男の一人に果敢に向かっていったが、すぐに蹴飛ばされた。
「煩せぇ、ガキに用はねえんだよ。俺たちが用のあるのは、こっちの可愛いお嬢ちゃんだけだ」
男たちは香花を松の樹の下に運び、横たえた。一人が香花の両脚を押さえ込み、一人が両腕を持ち上げた格好で固定する。
ほくろの男が上から覆い被さってきた。
「こいつ、震えてやがる。この様子だと生娘に違えねえ」
手を押さえつけた小太りの男が嬉しげに言った。
「お嬢さん、そんなに怖がらなくても大丈夫だ。俺たちがたっぷりと愉しませてやるからな。どうせ、どこかの両班のぼんぼんとするはずだったことを、俺たちが丁寧に手取り脚取り教えてやろうっていうんだ、感謝して欲しいものだぜ」
ほくろの男がニヤついて言い、香花の肩に羽織っていた外套を荒々しく剥ぎ取った。
