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恋は甘い香りと共に

第1章 はじまり




私の足は怯むことなくまっすぐ二人の元へ進んだ。


店の中からのバニラエッセンスの甘い香りの風を顔に感じる。


彼の手が止まったことを不思議に思ったのか奈津美ちゃんが中村翔を見て、私を見た。


さっと彼女の頬が凍りついた気がした。

私の歩みは止まらない。


「あ、杏里ちゃん…」


「あらしちゃん、こんにちは」


平然とモデルスマイルを向けられたことが私の怒りを煽る。


この期に及んでこいつ…


「奈津美ちゃん、こっち来て」



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