
恋は甘い香りと共に
第1章 はじまり
藍川湊人は何もなかったかのようにケーキを食べている。
仏頂面冷徹男子とショートケーキ。
似合わない組み合わせだけどさっきの言葉が蘇って嬉しくなる。
さ、てと。
私も仕事に戻ろう。
奈津美ちゃんには会ったらフォローしておこう。
「あ、杏里ちゃーん。手空いてたら裏にゴミ出しにいってほしいんだけどー」
「了解です」
生ゴミをまとめて持ち上げる。
「うわ、重い」
そう言いながらも持ち上がってしまうから悲しい。
重いもの移動のや力仕事は大抵私にまわってくる。
ああもう私女子じゃないよね…
