
恋は甘い香りと共に
第1章 はじまり
営業用の顔が崩れて家族にしか見せない表情になった。
眉がちょっとハの字に曲がっている。
何を言おうとするかはわかった。
「火傷、気を付けてね」
「ん」
「じゃあお母さん戻るね」
「ん」
母を見送ってから私も表に繰り出す。
表の様子は概ねいつも通りでざわざわも無くなっていた。
奈津美ちゃん、大丈夫だったかなあ…
心配になってキョロキョロしてみるけど彼女の姿は見当たらない。
どこ行ったんだろ?
探すついでに3人の方をちらっと見たら中村翔だけ席を外していた。
んートイレかな?
