
恋は甘い香りと共に
第1章 はじまり
「っつめて…」
「あ、良かった。痕は残らなそうだ」
肌に残った赤みは皮膚の表面上だけに止まり変にただれたりはしてなかった。
「…大丈夫だよ、服の上からだし」
「服の上からでも危ないの!!ずっと痕が残るかもしれないんだから!」
じりりとあの瞬間的に焼けたような感覚を思い出す。
無意識に右肩をさすった。
「え、杏里あなた何やってんの!?…って火傷?」
その時こちらに母が見えた。
上半身ハダカのイケメン君と二人きりというおかしな状況に一瞬目を丸くしたが、シャツについたコーヒーの染みや少し赤くなった肌を見て直ぐに察した。
「申し訳ありません。うちの馬鹿娘が…。ちょっと杏里!火傷、大丈夫なの!?」
「うん。痕には残らない」
