
恋は甘い香りと共に
第1章 はじまり
チッチッチッチ………ピン!
A.黙って立ち去る
私は頭を元に戻し、踏み出しかけていた足に力を入れてそのまま歩き出した。
もう何も聞こえない。
何も考えらんない。
このまま今日はバイトを早くあがって寝よう!
3人の席から見えない場所まできて私はへたり込んだ。
そこにすかさず奈津美ちゃんが駆け寄ってきた。
「杏里ちゃん!!きゃーもう良いじゃないですかぁ!あの人たちのとこ行けて!どうです?やっぱ近くだともっと格好良いですか?」
私は力なくポッケから伝票を取り出し奈津美ちゃんに渡した。
「よろしく。私もう頭痛い。帰…」
「奈津美ちゃーん!ごめんちょっとー?」
