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もしも、君を愛せたならば

第27章 今さら

俺は亜矢の正面に座りこむと
畏まって言った。


〝三浦亜矢サン、

 俺と、

 結婚を前提に付き合って下さい〟


亜矢は涙目で、開いた口が塞がらない。




〝亜矢、返事は?〟




〝はッ・・・・

 はい・・〟



間抜けな泣き顔で亜矢は返事して
二人して笑えてきて、
亜矢はまた泣き出した。



俺はそんな亜矢が
愛おしくてたまらなかった。




〝う・・・・ぅ・・ううッ・・

 シンーー!!〟



〝ゴメンな?
 俺からちゃんと、
 付き合ってって
 言ってなかったよな〟


〝ほ・・ホントだよ!!
 
 い、今さら・・・
 うッ・・・うううぅ・・・



 でも・・・
 
 でも嬉しぃぃ・・

 う・・・ありがと・・・

 シン・・・・〟


高校の時からずっと一緒で、
勢いでココまで来た。

俺は亜矢との始まりの時
言ってなかった言葉がある。

「付き合って欲しい」の一言。


俺はそれが
ずっと引っかかってはいた。


けど、
すっかりタイミングを逃した
俺たちにとって、
その言葉の重みはだんだん増して、
10代の頃とは違いすぎて
中途半端な気持ちで言いたくなかった。

亜矢は今さらだと言ったけど、
俺にとっては、
今だから言える言葉だった。


一緒になりたいと
思えば思う程に
容易く口には出来なくて、

けど、やっと言えた。


亜矢は暫く俺の腕の中で泣いた。

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