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もしも、君を愛せたならば

第5章 不満

作りかけの夕飯を
ストップさせて
おかゆが残る小鍋に
また火をつけた。

溶き卵を落として
それを食べる。
自分の為に作る気がしない。
夫がいないときは
そうやって楽をして
息抜きすることが増えた。

次男を先に寝かせ、
長男をお風呂に入れ、
一緒にパズルをした。

〝さぁー隼斗、九時だよ!〟

〝そーだな!
 早起きは「さんもんのとく」だからな!〟

そう言いながら、
隼斗は寝室に向かう。

私は思わず、
プッと吹き出して

〝それ、誰に教えてもらったの~?〟

と聞いた。

〝え?パパだけど?
 なんで?〟

・・・。
夫は、考え方や言動が
少し昭和っぽい。
昔はそんなところも
面白くって好きだったけど
今はただの頑固な男だ。
はっきり言って、
いやな面も多い。

すっかり二人が寝付いた後
いつもなら洗濯をして
朝食の準備を済ませてから寝る。

だけど、今日はもう
寝ることにした。

夫がいなくて
やけに広い布団で
私は心置きなく
ゆったりと眠った。

つまらない不満は
眠ればすぐに忘れられる。



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