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精霊と共に 歩睦の物語

第5章 花火を見るって大変

「あら、何が無理?」
 紅葉が微笑みながら言う。

「いえ、なんでもありません!あ!もう直ぐ、仕掛け花火です。もっ少し高い所、行きません?」
 涼はあわてながら高台の方を指差す。

「涼君のおすすめ?」

「はい!」

「じゃ、連れてって」
 紅葉は再び微笑む。

「わっかりました!」
 涼は真っ赤になりながら、紅葉の手を取り誘導する。


「あの二人…いい感じみたいね」
 遥香が涼と紅葉の姿が見える。

「…そうだね、涼にも春が来るかなぁ」
 歩睦はニヤッと笑う。

「なー歩睦。近くに自販ない?喉か沸いてさ、買いに行きたいけど、場所も分からないし、翼女ちゃんを一人にするのもいけないし、二人で行くとなると場所取っとけないしさ」
 柾季が歩睦に聞く

「自販か…直ぐそこ曲がった所の…」
 歩睦は道を指差す。

 指差した方にはたくさんの人たちが、花火がよく見える場所を求めて、ごった返していた。

「仕掛け花火まで少し時間があるから、僕買ってこようか?」
 歩睦は土地勘のない柾季にはこの混雑では、迷うといけないから提案した。

「いいのか?悪いな、来た早々」
 その提案に乗る柾季。

「何がいい?」

「オレ、コーラ!なかったら炭酸系で!翼女ちゃんは?」

「え、私はお茶系がいい、浴衣汚したくないから」

「遥香は?」

「私もお茶かな?」

「了解。じゃ、行ってくる」
 歩睦は飲み物を買いに走る。

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