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精霊と共に 歩睦の物語

第5章 花火を見るって大変

「遥香ちゃーん」
「おーい」
 柾季と翼女が二人並んで手を振っている。

「翼女ちゃんと柾季だ」
 遥香が二人に気付く。

「いく?」
「行かなきゃダメでしょね…」
 歩睦と遥香は柾季たちの側に行く。


「足、大丈夫?」
 翼女は遥香の足を心配する。

「う、うん大丈夫。もう普通に歩けるから!」
 遥香は、ぴょんぴょんとジャンプした。

「あれ?あの過保護先輩は?」
 柾季は楓が居ない事に気がつく。

「楓先輩は…」
 歩睦はどう説明しようか悩んでいると、紅葉が涼と共に合流してきた。

「楓ちゃんには、お店の用事を頼んだから、もう直ぐ来るわ」
 紅葉はニコニコ微笑む。

「そうなの…?」
 遥香も気になっていたようで、歩睦に確認する。

「…先輩…お店の用事……まーそんな事なのかな?僕もよく分からない…」
 歩睦はう~んと考える。

「寂しいのぉ?」
 歩睦の考える姿を見逃さなかった涼がニヤニヤしながら言う。

「なんで寂しくなるんだよ…」
 ちょっと、脹れながら花火を見上げる歩睦。

「脹れるなよ、歩睦くぅん」
 涼が歩睦に抱きつく。

「離せ、うっとうしい!」
 涼の腕を振り払い、涼を捕まえる。

「こんな事は紅葉さんにしろよ」
 涼にだけ聞える声で言う。

「な!無理!」
 涼の顔が赤くなり、静かになった。

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