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精霊と共に 歩睦の物語

第5章 花火を見るって大変

「逃げろ!歩睦!出来るだけ人のいないほうへ!」
 楓は歩睦を後ろに突き飛ばす。

「わぁ」
 歩睦は急に後ろに押されて、尻餅をつく。


「ハ、ハイ!」
 歩睦がその場から走り出す。

「逃がさない!」
 お面の子が、走って逃げる歩睦を追っかける。


「……ぼ、僕が、走っていく……」
 尻餅状態のまま、歩睦は自分の後ろ姿を見ている。


「歩睦さま、こちらへ!」
 紅葉の周りにいた大人の人が数人歩睦の周りに集まってきた。

「あ、あの…僕が…ぁ…」
 歩睦は口をパクパクさせながら、指差す。

「ああワーンの変化ですね。ささ、今のうちに!」
 大人の人は歩睦を立ち上がらせる。

「…ワーン?」
 歩睦は自分と同じ姿の人が走っていた方を見ている。

「さ、楓様が時間を作っている間に!」
 大人の人に導かれながらこの場から離れていく。

「は、はい…」
 歩睦は素直について行く。

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