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掌の浜辺

第1章 春 - story -

 「今、彼女さんがおっしゃったこととよみかけていたその漫画の3ペ-ジ前からの物語を確認して頂けますか?」
 「はい」
 頭の中にある記憶と照らし合わせながら、その学生は確認していく。
 「あってます」
 「ありがとうございます」
 教卓に戻る。
 「というように、覚えているところと忘れているところがあるという点に注目して頂きたいのですが」
 先生はそう言ったあと、しばらく自分のカバンの中をあさっていたが、結局見つからず
 「申し訳ありません。研究室に忘れ物をしてきてしまったので、取りに行ってきます。ここに戻るまで休憩です。では一旦失礼します」

 …そして10分後。

 「申し訳ありませんでした。今からこのプリントを配布しますので、一番前の学生さんは後ろに回していって下さい。お願いします」
 プリントとは言っても、ただの白紙の紙だった。まずはそれを縦方向に二つ折りにするように指示された。先生は全員がその作業を終えるまで待ってくれた。
 「よろしいですか?」
 大丈夫だという反応が学生たちから返ってきた。
 「では行きます。今度は実験です。今から漢字の熟語を15個言います。それを覚えて頂けますか?そして、最後の15個目が言い終わったあと、5秒たってからその配布した紙にあなたが覚えている漢字の熟語を書いていって頂けますか?」

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