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掌の浜辺

第1章 春 - story -

22 .続け-2-

 「マナ-モ-ドってケ-タイのやつだよな?」
 「お-。おれは何を答えればいいんだ?」
 「ケ-タイから何を連想する?」
 「ケ-タイ。う-ん。め-るしかしないからな-」
 「メ-ル?」
 「お-」
 「メ-ルと言えば絵文字」
 「それ、うざい」
 「何でよ!うざい?大声?」
 「大声。叫ぶ」
 「シャウト!」
 「英語にしただけ?」
 「いいじゃん」
 「…私は英語だから。はい」
 「アメリカ」
 「でかい」
 「デパ-ト?」
 「都会!都会にあるし」
 「それを言うなら街中じゃないの?」
 「そっか。すまん」
 「街中ですか?」
 「はい」
 「人いっぱい、はい」
 友達に渡そうとしたんだけど寝ている。その隣も、またその隣も。私は席を立ち、一番端にいる学生にそれらを渡しに行く。
 「はい」
 「あっ、どうも」
 「都会、街中、人いっぱい、です」
 「はい。人いっぱい…満員電車」
 後ろへ。
 「ぎゅうぎゅう詰め」
 「窮屈だな」
 「窮屈、狭い!」
 「狭い…」
 あ。村越さん履修してんだ。
 「思いつきました?」
 ゆうこりんも、か。
 「ん…せまい、でしたよね?」
 「…あ、何となく不動産屋さん」
 「あっ、わかるかもです」
 「ゆうこりん、次」
 「あっ、そっか。えっと…不動産屋さん…物件?」
 「専門用語キタね」
 「そうですか?」
 「いや。わからないけど」 「はい」
 隣の学生さんにゆうこりんはマイクとクッシュボ-ルを手渡す。
 「物件って家のこと?」
 「たぶん…家、一軒家」
 「一軒家??…一軒家…」
 「住宅街!」
 「住宅街には公園」
 「公園、ブランコ」
 「ゆれる」
 「地震」
 「怖い。地震?中学のとき理科でやった」
 「理科、といえば実験」
 「フラスコとか?」
 「うん」
 「フラスコってどんなだっけ?」

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