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掌の浜辺

第1章 春 - story -

15.各々

思ったり考えたりしているだけでは
何も変わらない
行動せねばならないのに


 他の4人がようやく寝床に就いた午前4時、あたりはほんの少し明るくなってきた。オレはまだ歩き続けている。線路に沿っていくと、3駅半先に家があるのだが、もうそろそろ着いてもおかしくない時間帯にさしかかってきている。なのに、見慣れた風景がどこにも見当たらない。沿い間違えたか、オレ、迷子? 一旦その歩みを止め、もう一度周囲を見渡すことにする。前、左、左後ろ、右。あ。振り向いて左前、踏切の奥。
 「そこか」
 いつも通っている線路に沿った道とは反対側の道路を歩いていたようだ。でも、何でこっち来てんだ? それに気づかないほど疲れていたとか? あ-。よ-わからん。頭回んね-。とりあえず歩こ。
 トコトコトコ
 (すぐ寝よ)

 翌朝、というか翌昼、それぞれの場所でそれぞれが目を覚ます。
 「頭痛い…」
 「大丈夫?寝てていいんだよ」
 「ありがとうございます…」
 布団に横になっていても、気持ちの悪さは払拭されない。二日酔いって初めてだから、こんな風になるなんてわかんなかった。うぅん…だるいよぉ。

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