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掌の浜辺

第1章 春 - story -

12.ファ-スト・クライマックス

アルコ-ルが入ると
なぜ
変貌をとげるのか


 「平石ぃ。どっか痛いんかぁ?」
 「えぇ?」 「すいませぇん。あたしぃのせいでぇす」
 「ゆうこりぃん可哀相じゃんかよぉ」
 「ごめんなさぁい」

 「フィ-リングカップルやっか」
 「いえ~い」
 ゆうこりんと部長さんは、うれしそうに手をぱちぱちと叩いていた。オレ、ナオト、りょうこりんの3人はやってやるか的なテンションだった。
 「じゃぁ、自己紹介からぁ」 「平石さぁん酔ってますぅ?」
 「酔ってないよぉ」 「西海浜大学1年臨床でぇす」
 「てか、フィ-リングカップルって自己紹介ありましたっけ?」
 りょうこりんは小野里先輩に質問する。
 「わからぁん。まぁどっちでもぉ」 「好きなタイプは何ですかぁ?」
 「いえ~い」 「俺、可愛い子ぉ」
 「ゆうこりぃん。かわいいよねぇ」
 「やったぁ」
 カップル成立。するわけね-な。

 「はぁい」
 店員はその勘定書を手元に置いて、レジのタッチパネルを操作していく。
 ピピピ
 「1万9200円にります」
 「はぁい」
 財布を取り出す。細かいのがない。1万円札を2枚、その店員に渡す。
 「2万円頂きます」
 再び、その機械に手を触れる。
 ガラガラ
 「おつりの800円です。レシ-トはお使いになりますか?」
 「いいでぇす」
 「ありがとうございました」
 小野里先輩が支払いをしている間、酔っ払いたちの暴走は激しさを増していった。

 「次ぃどこぉ?」 「うち、明日バイトなので帰ります」
 「帰るんですかぁ?」 「おぉ。じゃぁ金集めっかぁ出してってくれぇ」
 「ごめんね、ゆうこ」 「部長さん!危ないですよ」
 「えぇ?」 「はい」
 3200円ずつ徴収。ただ、赤川は金欠だということなので、今回はまけておく。
 「ありがとうございます」
 「おぉ」
 (小野里先輩、酔ってるふりしてます?)


見かけと中身が
一致しないことは
あるように思える
確かに
悪そうなオ-ラが出ている人からは
離れたくなりかもしれない
いかにも物騒な人を見かけたら
近寄りがたいかもしれない
でも
それは
かもしれないという推測であり
全てをそうと決めつけることは
…どうだろう

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