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掌の浜辺

第1章 春 - story -

11.追加

だまされないと思いこんでいる人よりかは
だまされやすいと思っている人でよかった
と思う


 ワイワイ
 ガヤガヤ
 「モスコミュ-ル、お持ち致しました」
 「はい」 「注文お願いします」
 「はい」
 「カンパリオレンジ1つと、何だっけ?」
 小野里先輩はオレの方に顔を向けてそう言った。
 「カル-アミルクです」
 「カンパリオレンジ、カル-アミルク、おひとつずつですね?」
 「はい」
 「かしこまりました。失礼致します」

 「ごめ-ん!」
 遅れて40分、部長さん、ご来店。
 「お」 「平石さ-んおはようございます」 「こんばんは」
 「おはよ-。でも、ごめんね。待たせて」
 手をいろいろと動かしながら、彼女はみんなに謝った。
 「大丈夫ですよ。飲みましょう」
 「うん」
 (ゆうこりん酔い始めた…?)

 オ-ダ-で、ザンギと釜丼とパスタとグレ-プフル-ツサワ-を頼んだ。
 「就活ですか?」
 りょうこりんが問いかける。
 「うん。それで聞いて!いいとこらあったんだけど、先越されちゃってて」 「カル-アミルクとカンパリオレンジお持ちしました」
 「はい」 「そうだったんですか」 「これ、誰の?」
 「俺と赤川のだよ」
 「は-い」
 私は2人にお酒を渡して、りょうこりんに言葉を返す。
 「もう!って感じだよね。悔しいけど、仕方ないっていう感覚」
 「はい」
 彼女たちは難しい表情になっていた。

 いつのまにか、男と女に席が分かれていた。
 「合コォンみたい♪」 「ン゛~」
 部長さんは机の上に両腕を置いて、そこに顔をうずめていた。
 「平石さぁん泣かないでくださいよぉ」
 ゆうこりんは彼女に手をさしのばす。
 「だって…電話したら誰かが先にそこから内定もらってたんだよ…」
 「あぁそれぇあたしも悲しくなってきましたぁ」


酔っているのはわかるけど
けなしているようにも
聞こえかねない
その言動は
もう
怖いものなしといった気分に
なっているから出てくる
のだろう
完全に飲まれてしまっている
その姿を見たら
おもしろさよりもすごさの方を
感じてしまうのは
…そのせいか

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