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掌の浜辺

第1章 春 - story -

10.始まる

あたしは
たまに自己嫌悪になることがあるけど
気にしないでください


 その写メ-ルには、おしゃれな女性服を身にまとった小野里先輩が写っていた。しかし、全く男っ気を感じない。普段はばりばり男やってますって格好何だけど、こんなに様変わりするんだと思った。
 「フライドポテトとシ-ザ-サラダをお持ち致しました」
 「は-い」
 コトン
 「失礼致します」

 「あっありがとうございます」
 「お」
 あたしは、彼に携帯電話を返した。
 「これうめ-」
 久しぶりに揚げものを食ったためか、オレにはそれがとても美味しく感じられた。
 「なかなかだわ」 「普通においしいじゃん」 「あっおいしい」
 「じゃ、俺はサラダを」
 小皿によそっている最中、俺の携帯電話のマナ-モ-ドが鳴り出した。
 件名【用事終わったよ】
 本文【今から向かうね】
 返信する。
 件名【お】
 本文【待ってっから】

 グビッ
 パクパク
 「中華炒飯、豚ソ-セ-ジピザ、お持ち致しました」
 「すいません注文」
 ナオトが店員に声をかける。
 「はい」
 「モスコミュ-ル」
 「おひとつで、よろしかったですか?」
 「はい」
 「かしこまりました」
 (ナオトは酔わね-からな-)

 「それ着ただけですか?」
 「え?部室から寮まで歩かされた」
 「その格好でですか?」
 「お」 「よくできましたね」
 「罰ゲ-ムだったから」 「園田にもやらせたいかも」
 「は!?意味わかんね」 「罰ゲ-ムだからってできるもんなんですか」
 (冗談と本気が半分こずつのゆうこりんでした)


なぜか
本気にしてしまう
俺の性格上の問題なのだろう

引っかけようとしている方に
過失がないということはない
はず
でも
すぐこういう論理を展開する俺って
ただ単にそういうことを
正当化したいだけの話
なのではないだろうか
…本当は

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